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坂本 章氏 白釉掛分茶器

2015年9月16日

日本陶芸展2015 特別賞・TOTO賞 受賞

 

この土瓶は、工業デザーナーで日本民藝館元館長の柳宗理さんの依頼で、共同でつくられたものらしい。柳宗理さんが土瓶を作ってみたいと坂本さんを訪ねられ、互いが向かい合って座り、柳さんの指導のもと、ご高齢だった柳さんに代わって坂本さんがろくろをひきながら出来上がった。

最初は丸い姿の土瓶を目指していたが、少し下膨れがいいということになって途中から形が変わったという。湯のみは、坂本さんがこの土瓶に合わせて柳さんの持ち味を生かして制作し、それを柳さんに見せにいったという。

デザイナーと作陶家がどちらも客観的に「いい感じ」を探しながら行き着いたものが、作者の思いが作為的過ぎずに謙虚な形でほのぼのと出来上がっている感じがする。緑がかった青の釉薬も柳宗理さんの色であることがはっきりとわかる。

人が輪になって茶を読む姿が眼に浮かぶ。作陶とデザインの融合がこのほのぼのとした優しい茶器を生み出した感じがする。

日本陶芸展 JAPAN CERAMIC ART EXHIBITION 2015 XXIII より抜粋
文章:深澤直人